毒親育ちを傷つける言葉から心を守るには?
この世界には毒親育ちを傷つける言葉が溢れている。
「そんな柔な拳では、この身体に傷一つ残すことはできんわ!」と私もラオウ顔でキメたかったが、現実にはダメージを受けてきた。
たとえば「昔のことは水に流して、親を許してあげたら?」とか言うてくる人がいる。
許す、許さないは本人が決めることだ。また、許そうと思って許せるものでもない。
許せないことに一番苦しんでいるのは本人なのだ。許せたらどんなに楽だろう、忘れられたらどんなにいいだろう…そう切実に願いつつ、許したくても許せないからつらい。
親を殺された人に向かって「犯人を許してあげたら?」とは言わないだろう。「(大したことじゃないんだから)許してあげたら?」と被害を軽視するのは、被害者をさらに傷つける二次加害だ。
言われた側は「許せない自分はダメなんだ」と自分を責めて、さらに苦しむ。つらい気持ちを1人で抱え込み、心の回復からますます遠ざかる。
「親にも事情があったのよ」「親も苦しんでると思うよ」「いつまでも責めたら可哀想」「親を恨んでも解決しないよ」「憎しみを抱えたままだと不幸になるよ」…等など。
これらは被害者を追いつめる言葉であり、被害者の声を封じる言葉でもある。
私はこうした言葉をかけられたら「いじめの被害者にそれ言います?」と返す。
毒親育ちは親からいじめを受けて育ってきたのだ。
自分を傷つけた相手を許せないのは当然だし、許さなくていい。心は不可侵領域で、相手を憎んで恨んでボコボコにしようが自由なのだ。
毒親育ちは「血のつながった親子なんだから」「育ててもらった恩があるでしょ」「子どもを愛さない親はいない」「だから親を許すべき」という圧に苦しめられる。
こうした圧をかける人々は、毒親ポルノ(毒親を許して和解する系のコンテンツ)に洗脳されているのだろう。
どんなにひどい親でも、子どもは「親を愛せない自分はひどい人間じゃないか」と罪悪感に苦しむ。そのうえ、当事者の苦しみを知らない人々からの無神経な言葉に傷つく。
その手の人々に「うちは毒親なんですよ」と言っても「親だって完璧じゃないんだから」「あなたも子どもを産めば親の苦労がわかる」と説教をかまされがちだ。
そこで「それ児童虐待の被害者に言います?」と返すと、さすがに黙る人が多い。
が、そこまで言っても「親も追いつめられてたんじゃない?」など、親サイドに寄り添う人もいる。
幼い子どもはどれだけ追いつめられても、親から逃げられない。親子は圧倒的な力関係があるのに、その非対称性を無視するのはおかしいだろう。
ちなみに私の場合は「父親に5千万の借金を背負わされたんですよね~」と言うと、相手がドン引きするので便利。やはり金の話は全人類に刺さる。
モノマネ返し、bot返し、エシディシ返しを活用しよう!
モンスターに追われる気持ちは、追われたことのないラッキーな人にはわからない。
私も親からの連絡を無視していると話すと「親御さんが可哀想」「もっと優しくしてあげて」と善意の人に言われたが、毒親は優しくするとつけこんで、利用&搾取してくる。
モンスターの生態を知らない人の言葉から、どうやって自分を守るか?
たとえば「正月ぐらい帰ってあげたら? 親も寂しがってるでしょ」と悪気なく言ってくる人もいる。
そこで「親と仲が悪くて笑」と笑顔で返すと「反抗期?」「たまには親孝行しなきゃ」とか言われて、とてもつらい。
とてもつらい時に、反射的に笑顔で返すクセをやめよう。
そうした場面では「複雑な事情があって……」と明菜返し(小声&伏し目)がおすすめだ。中森明菜のモノマネをする友近のモノマネをマスターしよう。
もしくは「親からDVを受けたんですよ」と真顔で返すと、さすがに相手は黙る。それでも何か言ってくる奴は、そいつがモンスターなのでダッシュで逃げよう。
自分の事情を明かしたくない場合は、bot返しがおすすめだ。
「たまには親孝行しなきゃ」と言われたら「〇〇さんはそういう考えなんですね」「〇〇さんはそういう考えなんですか」とひたすら繰り返すと、相手は話す気を失う。
もしくは「えっ、なんでですか?」「なんで親孝行しなきゃいけないんですか?」「なんでなんで?」と質問返しもおすすめだ。
相手が吉良吉影なら爆殺される恐れがあるが、吉良吉影は他人に興味がないからからんでこない。
幼少期のエジソンは「なんでなんで?」と質問ばかりしていたため「なぜなぜ坊や」と呼ばれていたそうだ。幼少期のエジソン顔で「なんでなんで?」と言い続ければ「こいつ面倒くさいな」と相手は逃げていくだろう。
エジソン返しより破壊力があるのが、エシディシ返しだ。
20代の頃、会社の飲み会で親の話をぽろっとしたら「被害者ぶるな」と先輩に言われたことがある。
私は今でもそいつのことをひたむきに呪っていて、アマゾンで藁人形をポチりそうになった(千円ぐらいで買える)。
あの時、ショックのあまり何も言い返せなかった自分が悔しい。そいつにダメージを与えるために「あァァァんまりだァァアァ AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHH!!」とギャン泣きすればよかった。
すると相手を「ひどい発言で後輩を泣かせた悪者」にできるし、「ひどいんじゃない?」と周りに非難される姿を見れば「フー、スッとしたぜ」とスッキリする。
そこで相手が謝ってきたら「すみません、心が叫びたがってたんで」とクールに返そう。
世代が違うアピール&質問返しもアリ!
「うちはもっと大変だった、甘えたこと言うな」「うちも毒親だけど結婚式には呼んだよ、それがケジメってもんでしょ」などと説教してくる人もいる。
「自分は我慢したんだからお前も我慢しろ」系の説教をされたら「体育会系ww昭和www」とプークスクス返しをするもよし。
「そういうのよくわかんないすねー」とスマホでTikTokを見るなどして、世代が違うから話が通じないアピールもアリだ。
「孫の顔を見せてやるのが親孝行だぞ」など、化石みたいな説教をしてくるおじさんもいる。そんな時は以下のさしすせそを使ってほしい。
「さすが~!昭和生まれは伊達じゃない」
「知らなかった~!マンスプおじさんだったんですね」
「すごーい!『時代錯誤』の例文みたい」
「センスいい~!安土桃山生まれですか?」
「そうなんだ~!すみません、あなたの話に興味ないです(苦笑)」
上から目線で説教してくる奴は、こちらをナメているのだ。
なので「親の気持ちも考えてやれ」とか言われたら「思考しえぬことを我々は思考することはできない、それゆえ思考しえぬことを我々は語ることもできない。ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの言葉ですが、どう思いますか?」と哲学返しをキメしよう。
すると「ヤバい!こいつ、かしこや」と相手はビビる。
(かしこ:関西弁で「賢い人」という意味)
「ミネルバのふくろうは黄昏に飛び立つ」というヘーゲルの言葉もかっこいいので、意味はわからないけど使ってみたい。
「親を恨んでも解決しないよ」「憎しみを抱えたままだと不幸になるよ」とか言ってくる人は、深く考えずにテンプレ発言しているのだ。
だから「えっ、なんでそう断言できるの? 根拠は? 文献は? ソースは? エビデンスは?」とネチネチ質問を繰り返そう。
そこで相手がしどろもどろになったら「ちょっと何言ってるかわからない」とサンドウィッチマン返しをキメよう。もし相手がムッとしたら「怒っても解決しないよ(苦笑)」と返そう。
逆に相手が「毒親の定義は?」とか質問してきたら「興味があるならググれカス」とピシャリと返そう。「丁寧に説明して自分を納得させてみろ」と上から聞いてくる奴に時間を割いてやる必要はない。
対話するかどうかを選ぶ権利は自分にある。こちらを尊重しない相手を尊重してやる必要はない。
相手がこちらの意見に耳を傾け、真摯に対話する姿勢があるかを見極めよう。
その姿勢がある相手には「そういう言葉に私は傷ついてしまうんだよね、なぜなら…」と素直な気持ちを説明すればいいと思う。
以上の撃退法が毒親フレンズの役に立てば幸いだ。
最後に、言葉で言い返すのが苦手な人は「オカルト返し」をキメよう。ウザいこと言ってくる奴の背後をじっと見つめて「視える…」と呟けば、相手を恐怖させられる。
次回は「自己肯定感がなくても大丈夫」という話をします。
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作者・編集部で拝見させていただきます。